クラインガルテンという滞在型のレンタル市民農園が都市近郊に広がりつつあり、話題になっています。
2021年6月26日放送のテレビ朝日「人生の楽園」では、山梨県の「南アルプスクラインガルテン」を利用して南アルプス市に移住した夫婦が紹介されました。
ここでは、クラインガルテンがどんなものか、システムや料金、面積、募集などについて紹介します。
クラインガルテンとは
クラインガルテンとは、発祥地のドイツでは「小さな庭」という意味で、庭を持つことができない都市生活者のための市民農園のことをいいます。
日本におけるクラインガルテンとは、通常「滞在型市民農園」を意味しており、その農園を賃借するシステムを指す言葉としても用いられています。
ドイツのクラインガルテン
最初のクラインガルテンは1864年ドイツ東部のライプツィヒに作られ、その後ドイツ全国、欧州へと広がっていったといいますから、200年以上の歴史があります。
ドイツでは、野菜や果物を育てるだけでなく、芝生を敷いて休憩用の小さな小屋を建てたり、子供の遊具を置いたり、趣味で小さな池を作ることもできるそうなので、単なる「貸し農園」とは違ってかなり自由に使えるようです。
はあが咲き乱れた自分だけのオシャレできれいな理想の庭を造り、お互いに美しさを競い合うことで、都市の緑化に貢献しているそうです。
日本のクラインガルテン
日本のクラインガルテンは、滞在型のレンタル市民農園として都市近郊に広がりつつあります。
老後の生き甲斐や余暇の楽しみというだけでなく、都市部での緑地保全や子どもたちへの豊かな自然教育の場としても大きな役割を果たしています。
自宅の近くに畑を借りて野菜を栽培している人はけっこういると思いますが、より豊かな自然の環境で野菜を育ててみたいという人も少なくないと思います。
そんな場合、クラインガルテンは都会に住みながら週末には自然とふれあう農村体験ができるので好評です。
農園を借りられる他、世話役の農家から 農作業の仕方、この土地での野菜づくりの指導を受けることができます。
また、いずれはその地に移住して本格的に農業に取り組みたいと考えている人もいると思います。
そんな人の場合、クラインガルテンを利用して移住した先輩の話を聞いたりアドバイスを受けることもできるので安心して移住の計画を進めることができるというメリットがあります。
移住したものの田舎暮らしが合わなくて失敗する人も少なくないといいますから、このようにしっかりしたサポートのある上でお試しができるシステムはありがたいですね。
ここのところ、日本でも各地にクラインガルテンができて、利用者も多くなってきています。
2021年時点で、全国約60ヵ所以上のクラインガルテンが開設されています。
クラインガルテンの日帰り型と滞在型
クラインガルテンには日帰り型と滞在型があります。
日帰り型は農園を借りるだけなので、都市部にある貸し農園と同じイメージです。
滞在型には農園に「ラウベ」と呼ばれる小屋がついていて、本来は農作業に使う道具を置く物置き小屋なのですが、ここに宿泊することができます。
農家と同じく朝早くから作業することができるので、本格的な農業体験ができます。
その地に移住を考えているなら本格的に取り組める滞在型がおすすめになります。
滞在型を利用する人の場合、そこに移住することを前提に借りる人も少なくないようです。
特に移住を考えていなくても、自宅から距離があって行くのに時間がかかる場合は滞在型が便利です。
人生の楽園で紹介「南アルプスクラインガルテンを利用して移住した夫婦」
人生の楽園では、クラインガルテンを利用して、山梨県南アルプス市に移住した夫婦が紹介されました。
現在、夫70歳、妻68歳で、夫が59歳の時に勤めている会社を早期退職して、大好きな富士山が見える「南アルプスクラインガルテン」に申し込みをしたといいます。
まずは夫が単身でお試しの田舎暮らしをスタートさせ、3年後、仕事を定年退職した妻が合流し、5年後に二人揃って南アルプス市の住人になったそうです。
しっかりとお世話をしてくれる農家もあり、野菜作りはスーパーに出荷できるほど上達したそうです。
クラインガルテンを利用することで無理なく計画的に田舎への移住ができたというわけで、これは移住を考えている人にはとても参考になります。
クラインガルテン(滞在型市民応援)の料金
クラインガルテンの滞在型の料金の相場を知るため、関東地方(東京、千葉、山梨、茨城)とその周辺地域のクラインガルテンをいくつか調べてみました。(次の項を参照)
1年間の料金は東京で60万円のところもありましたが、だいたい40万円を少し上回る程度のところが多いようです。
電気代・電話代・上水道代・ケーブルテレビ利用料・インターネット回線利用料は、各自で契約して支払います。
この他、行事やイベントへの参加費(飲食費、材料費、資料代等)がかかる場合もあります。
クラインガルテンの利用期間・募集時期
クラインガルテンの利用期間は、4月から3月までを1年としているものがほとんどです。
募集時期はクラインガルテンによって違いがあり、毎年10月とか1月とか決められた時期に募集するところもあれば随時募集というところもあります。
ただし、随時募集と記載があっても空きがなくて順番待ちとなっている場合もあるので、各クラインガルテンの運営団体に問い合わせるのがいいでしょう。
クラインガルテンの1区画の面積
クラインガルテンの1区画の面積は300㎡前後が多いようです。
これに35~40㎡程度で宿泊できるラウベがついています。
関東近郊のクラインガルテン一覧
関東近郊の主なクラインガルテンの一覧です。
区画面積や料金などの比較のため、各県から一箇所をピックアップして調べてみたものです。
南アルプスクラインガルテン(山梨県)
- 所在地(中野エリア):山梨県南アルプス市中野2034
- 所在地(湯沢エリア):山梨県南アルプス市湯沢2580
- 1区画面積:470㎡~500㎡
- 入会金:411,420円
- 年間利用料金:411,420円
- 利用期間:1年単位(4月~翌年3月)最長5年間まで延長可能
- 募集期間:随時
おくたま海沢ふれあい農園(東京都)
- 所在地:東京都西多摩郡奥多摩町海沢497-21
- 1区画面積:270㎡
- 年間使用料金:600,000円
- 利用期間:1年単位(4月~翌年3月)最長5年間まで延長可能
- 募集時期:毎年1月中
クラインガルテン栗源(千葉県)
- 所在地:千葉県香取市沢1253番地1
- 1区画面積:310㎡(ラウベ:35㎡、畑:110㎡)
- 年間利用料金:400,000円
- 年間共益費:24,000円
- 利用期間:1年単位(4月~翌年3月)最長5年間まで延長可能
- 募集期間:随時
笠間クラインガルテン(茨城県)
- 所在地:茨城県笠間市本戸4258
- 1区画面積:337㎡(ラウベ:37㎡、畑:300㎡)
- 年間利用料:419,030円
- 利用期間:1年単位(4月~翌年3月)最長5年間まで延長可能
- 募集期間:毎年10月から開始
まとめ
日本のクラインガルテンは、「滞在型市民農園」を意味しており、その農園を賃借するシステムを指す言葉としても用いられています。
クラインガルテンには農園にラウベと呼ばれる小屋がついていて、本来は農作業に使う道具を置く物置き小屋なのですが、ここに宿泊することができます
その地に移住して本格的に農業に取り組みたいと考えている人の場合、クラインガルテンを利用して移住した先輩の話を聞いたりアドバイスを受けることもできるので安心して移住の計画を進めることができるというメリットがあります。
2021年6月26日放送の「人生の楽園」では、クラインガルテンを利用して、大好きな富士山が見える山梨県南アルプス市に移住した夫婦が紹介されました。